仕事納め

今日でわたしの担当が休暇に入るため、それに合わせてわたしもGrassi-Museumでの仕事納めとなった。
4ヶ月、研修と言う名で体力的にも金銭面的にもヒーヒー言っていた。
良くも悪くもたくさん課題の残る研修だった。



会社勤めている頃は文句ばかり言っていたが、今考えるとすごく楽だったな、と。
朝起きて働いてご飯食べて疲れてどっぷり眠る。そんな毎日を過ごしていたら、そのうち給料が銀行口座に入り、それなりに楽しく過ごしていた。
もっと技術的に進歩したいな、今度の休暇はどこに行こう。じゃ、とりあえず今週も頑張ろう。
充実していたと言えば充実していた。
その時にはそれがちゃんとした目標だったし、日々努力していた。



今回は目標設定を1年後、色々な意味で相当努力しても叶わないかもしれない厳しいものに設定した。
出来るのかな、出来たとしてもそれを生かせるのか。それともその前に貯金が底を切るのか、わたしの意思が途切れるのか。
もう既に何度か自問自答しては下降し上昇し、バンジージャンプのような状態になっている。



いつかは地面に足がつくんだろうか。



最初の大揺れほどはないけど、今もまだボヨボヨと揺れているから地面の距離感が掴めない。





とりあえず、今やるべきことは。










来週月曜の引っ越しまでに梱包し終わること。(クリスマス返上)











間に合うのか・・・!?





計算違い


ホワイトクリスマスは結構なんだけど、まだ第1アドベント(クリスマス前のカウントダウンでクリスマスの4週前の日曜のこと)が終わったばかりなのに、雪がもっさり。





Winterdienst(除雪車)もこんなに降るのは予定してなかったのか、雪かきが間に合っていない。
自転車はもちろん乗れないので毎朝少し早めに起き、徒歩通勤。雪の上を歩き慣れていないので、変な筋肉を使い足が筋肉痛。
自転車に乗れなくなるくらいの雪の上を歩くのはもうちょっと先だと思ってた・・・計算違い・・・





この気温も見間違いだと思いたい・・・







こちらも計算違い。
とあるHammerflügel (ハンマーフリューゲル/グランドピアノの前身)の弦が切れてたので、課題ついでに弦計算してみることにする。2、3週間前に全部の弦長を測ったり、可能な限り(保存上の問題で無理は出来ない)弦の太さを測ったり、準備はしていた。


わたしの現在の担当には「ピアノ職人だから簡単かもだけど」なんて言われつつ、実際にはまともにやったことが無いと言う。
基本、数弦が切れたら前に切れた弦、もしくは同じ音の太さの物を測って使用するとか、オーバーホールでも弦計算し直すと言うことならMensurixと言うパソコンのソフト使ったり。昔の人だったら計算尺とか使ってたみたいだけど。


最近はひたすら昔のノートやら教科書やら引っぱりだし、ひたすら計算しまくる。
果ては、わたしの担当の卒論引っ張り出してもらったり、参考文献貸してもらったり・・・


が、明らかにおかしな張力になる。
(何だかんだピアノ職人なもので、大体の張力の予想はつくし何となくの回答は本などで知っている)


いや、こんなに強かったら楽器が歪む、つかその前に弦が普通に切れるだろ。
つか、この計算式の定数はどこから来たんだ・・・あ、現在のピアノの弦と少し種類が違うと言うことは材料密度が違うっしょ、と言うことは・・・つか、この本古いのか著者の問題か、単位がポンドじゃねーか!



と、まあ、すったもんだありまして。



久しぶりに、Excelと電卓とにらめっこで、目がシパシパ。




んー、これも計算違い。





初雪

ついに始まった、積雪。。。午後になっても気温が上がらず、溶けにくくなってきてる。







去年は12月下旬だった気がするけど、今年は1ヶ月くらい早いな。


街中のクリスマスマーケットも今週から始まったみたいだけど、まだ行ってない。と言うか、今年は行かなそう。
(うっかり無駄遣いしそうだし)←本音






先日、職場のキッチンもクリスマス仕様になったのでこれで十分かな。


何だろう。この時期、周りがすごくわくわくしだすのに対して、わたしはすごく置いてかれている感じになる。天の邪鬼か?まーこちらのクリスマスは家族でお祝いするイベントだからかもだけど、寒さも増して憂鬱になりやすくなる。




Grassi-Museumでの研修も大詰めだし、実際そんな落ち込んでる暇はないんだけどね。





戦争

戦後、日本に生まれたわたしとしては、戦争は教科書かTVの世界のもののようなイメージがある。



日本は2発の大打撃でもって今後戦争はしないと誓った。
でもあの2つ目の悲劇は本来わたしの生まれた北九州に投下される予定だった。
わたしの祖父母がその時期どこにいたのか正確には知らないが、おそらく近郊であることは間違いない。



もしかして、あの日天気がよかったら。



もしかしてもしかして、わたしは今こんなことを書いている存在ではないのかもしれない。






第2次世界大戦後、教会のパイプオルガンを含め、ヨーロッパでは数多くの楽器が失われている。
世界大戦でなくても戦争で得られるものは、失われるものの比にもならないくらい少ない。
わたしはそう思う。






1943年12月4日の真夜中、Grassi-Museumは一度崩壊した。





秋空

先週と打って変わって、冷え込み始めた。
日中も10℃切っていて寒い。



でも天気の良い寒い日の空は格別に綺麗。
紅葉がよく映える。





Grassi-Museum勤務の人は異常に喫煙者が少ないのだけど(3人)、金管修復技術者のおばちゃんとは作業場が近いこともあってご一緒することが多い。もちろん室内禁煙なので、半屋外の螺旋階段で。


寒いですねー。
寒いねー。
今年寒くなるのか知ってます?
わたしのお腹は寒くなるって言ってるわ。
んん??
長年の勘よ。
あー、なるほど、寒くなるのか・・・
農家の人は、紅葉した葉っぱが早く散ると寒くなるって言うわね。



ブオーン・・・(落ち葉をかき集めるコンプレッサーの音)



確実に寒くなるんですね。
確実に寒くなるみたい。





部屋の暖房を入れてみた。



学芸員

わたしの今やっている仕事を日本語で説明し辛いことに気がついた。



日本語で言うと、多分「学芸員」が一番近い?
と言っても日本の学芸員の仕事内容をハッキリ知らないんだけど、とりあえずドイツの楽器博物館の場合はこんな感じだという、自分のためも含めたまとめ。

注)語尾についている「/in」は女性の場合の呼び名。



  • Restaurator/in(修復技術者):主に鍵盤、金管、木管、擦/撥弦楽器に分かれる。修復前の参考文献収集から、修復におけるドキュメンテーションも仕事のうち。その他、所蔵楽器の調律などを含むメンテ。Grassi-Museumでは木管以外の3人で構成
  • Sammlungskonservator/in(展示保存管理者):楽器展示から展示後、および館内の状態管理。1人
  • Kustode/Kustodin(学術的専門家):最近の正式名称はWissenschaftlicher Mitarbeiterと書かれてることが多い。楽器の歴史や仕組みについてなど、学術的に資料をまとめる。それぞれ専門分野が分かれている模様。2人、館長も合わせると3人
  • Museumspädagoge/-pädagogin(教育活動担当):館内の楽器案内、演奏可能な楽器での試弾など。割と初心者や子供向けに面白く楽器を紹介している。1人



Grassi-Museumは他にも常勤ではないみたいだけど、図面引きの専門家、カタログやプレス用に所蔵楽器を写す写真家、図書館のアーカイブ担当、そのアーカイブのデジタル化担当などの専門家がいるもよう。
もちろん、企画・運営関係も入れるとまだまだいる。
注)博物館によって常勤の人数も専門家も異なる。ただ、大体Restaurator/inは各種専門楽器に付き1名のパターンが多いかんじ。



わたしの研修先はRestaurierungswerkstatt(修復工房)。
詳しく書けないのは色々忙しいのもあるけど守秘義務もあり、どこまでオープンにしていいのか試行錯誤中。
一先ず、ネットやイベントなどで公開されたものは出してみてる。




わたしの現在の作業は、休館日である月曜日に行われる楽器調律や大型楽器のドキュメンテーション用の写真撮影、その他は詳細は難しいけど1900年頃のチェレスタの修復、1724年頃のパイプオルガンのドキュメンテーションを色々同時進行中。


チェレスタもパイプオルガンも鍵盤楽器ではあるけど、完全専門外。


一から仕組み、歴史、部品名称を絶賛勉強中。





紙面デヴュー②

誰よりもいつもテンションの高い、館長が出会い頭に「おめでとう!!」


「・・・?何に対して?」恐る恐る尋ねる。





9月4日付けの週間無料新聞「hallo! LEIPZIG」(1週間ごとに発行らしいので、まだ街とかで出回っているかも)より。




左のページの下段記事・・・





どーーーーん!!





・・・またか!!
今回の何が凄いって、記事にわたしネタも含まれてるってこと・・・?
以下、サクッとわたしのことが書かれてる部分の意訳。

実際のところ、常に日本人はどの催し物でも写真を撮っていますが、今週Leipzig大学所蔵楽器部門であるGrassi Museumで一度だけ逆の状況に。
ここ、Grassi Museumでエリナ・ニシダはカメラマンの中央に立っていました。その日は彼女の研修開始の初日。この27歳の研修生はここでもう一度、今日から開始する特別展時のために全てのトロンボーンを徹底的に検査することに打ち込んでいました。この日本から来たピアノ職人はこれから4ヶ月間、この楽器博物館館長のFontana教授のチームのサポート受け、彼女の将来の計画として、文化財の修復技術者のための大学進学を目指す。





一応、ドイツでの「日本人」ってイメージは「どこに行っても何をしても写真撮影」らしいです。





つか、「auf Herz und Nieren prüfen」で徹底的に調べる、試すと言う意味だったんだねー。
普通に、「心臓と腎臓を調べる・・・?!」とかビックリしてしまった。知らなかったよ、そんな熟語・・・。





新聞に載って新しい言葉を知りました。



紙面デヴュー①

9月2日付けの「Leipziger Volkszeitung(Leipzig市民新聞)」(通称・LVZ)の地域記事より。




中央はトロンボーン愛好会の会長さん、左下は展示室内に昔の工房再現してくれたトロンボーン職人。






アレ?右下の方に何だか見知った人が・・・・







どーーーん!!

エリナ・ニシダ 1920年製テナーバストロンボーンと。








皆、冗談で「載るかもね」なんて笑ってたけど。



本日、正真正銘研修初日、作業開始5分で新聞に(しかも名前も)載った研修生の称号を頂きました。








Grassi Museum(グラッシィ博物館)について

わたしの9月からの研修先であるGrassi Museum(グラッシィ博物館)について紹介。





実はこの博物館、一つの建物の中に3つの分館があるんです。





解説書からの引用

Grassi Museum für Angewandte Kunst(工芸美術館)では古代から20世紀にいたる工芸史、
Grassi Museum für Völkerkunde(民族博物館)では地球上の6大陸の人々の生活と美術、
Grassi Museum für Musikinstrumente(楽器博物館)では5世紀以上にわたる楽器の歴史、
それらが総面積3万平方メートルもある博物館のなかで展示されている。



わたしの研修先は上記のGrassi Museum für Musikinstrumenteと言われる楽器博物館での研修。
他の分館は確認していないけど、楽器博物館に関してはLeipzig大学所蔵楽器部門でもある。



楽器博物館にはルネッサンス16世紀から現代20世紀までの世界の楽器の約5,000点、聖像研究のコレクション、また歴史的な音を保存する媒体のコレクション、その中には約3500点の自動演奏ピアノのための楽譜や数多くの録音記録がある。


鍵盤楽器で言うと、世界最古と言われる16世紀半ばのクラヴィコードとか、ピアノの原理を発明したと言われる楽器制作家クリストフォリのHammerflügel(現存する彼の楽器ではオリジナル部分の多い状態)と呼ばれるピアノの前身の楽器が有名。








開館時間

  • 火曜から日曜日、および祝日:10時〜18時
  • 基本的にドイツの博物館・美術館は月曜日が定休館日。

  • 注)12月24日と31日は休館日。



入館料

  • 楽器博物館のみ               大人:5ユーロ  子供および学生:3ユーロ
  • コンビ・チケット              大人:12ユーロ 子供および学生:9ユーロ
    (Grassi-Museum内3つの博物館)
  • オーディオガイド              1ユーロ
  • 写真許可証                 2,50ユーロ
    (フラッシュおよび出版物への使用禁止)



  • 毎月第1水曜日は入館料無料








研修初日

職員の人に挨拶したり、大体の場所の案内をしてもらい、仕事を始めることになった。大体ここまで正味小一時間ほど。


今週末に特別展示が開始するけど、その展示作業が終わってないと言うことでわたしの研修始めの仕事はその特別展示のお手伝いをすることに。




特別展示の内容はドイツ・トロンボーン展



注)2010年9月4日から2011年7月29日までの特別展示となっています。






ドイツ(特にLeipzigを含めるザクセン州)の有名トロンボーンメーカー等の歴史的なトロンボーンを展示しており、トロンボーンの発祥から発展の歴史を含めるコアな特別展示となってます。

















とりあえずわたしの仕事は、ドイツのトロンボーン愛好会とか個人から貸し出ししてもらっている貴重な楽器のケースや解体出来る部品やメーカー名を間違えないように番号をつけることに。
楽器に直接番号は書けないんで、予め番号の印刷した小さなプラスティック製のフィルムに小さく穴をあけ糸を通し、楽器の見えにくいところ(でも関係者が判断出来るくらいには見易いところ)にくくりつけると言う地味ぃ〜な作業。
25本ほど楽器があり最初の2本ほど仕上げたところで、締め切りのはずの特別展示室に超デカいカメラを持った集団が入ってくる。



え、何?!



とか考えている前には、バシャバシャバシャッ!!!





猛フラッシュ攻撃、人生で初めて目がくらんだ・・・よ。





どうやら今日は新聞社向けのプレスの日だったらしく、週末から開催の特別展示を取材に何組もの新聞会社が集まった。
事情を知らない(と言うか、周りも知らせようがないフラッシュ攻撃の中)わたしはカメラマンの指示に翻弄される。




こう持って!今度はこう!あ、目線こっちのもお願い!!



プレスの人たちって連写、つまりフラッシュも連写の数だけ焚くんだね。写ってる人間がわたしなだけに質より量、数打ちゃ当たる系・・・?
隙を見て逃げ出したものの、特別展示の作業をしていた職員の人たちに笑われる。




研修初日、しかも作業を開始してものの5分でフォトプレス。
楽器博物館職員の中で有名な研修生になりました。