入院レポ⑤

恐怖の手術室は、私がイメージ(日本のTVドラマ)していた手術室と異なり、えらく開放的に広いし、天井が高い。
もちろん機械類は沢山置いてあるけれど、それでも像が2、3頭横たわれるくらい。(眼鏡無いので推定)



手術担当する女医さんと寝たまま自己紹介して、背後からラジオが聞こえるのに気づく。
「あ、気に障るなら消すけど」
「いや、良いですよ。(どうせ意識無くなって聞こえなくなるだろうし)」
えらく緊張感がないポップミュージックをBGMに、管の付いたマスクを口元に持って行かれ、


「はい、酸素でーす」



 ・・・えらく、古典的なやり方くね・・・?!


そうして何だか負けたくないと言う変な意地で目を開けようとするも、多分1分もしないうちに私は意識を無くした。
まさに重力と言う名の超巨大な掃除機に背中から吸い込まれる感じと言うのがピッタリな表現。



意外に癖になりそうな感覚。



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目が覚めたら全然知らないところにいた。
一応、割烹着みたいな病院服は着てるし、自分のベットには寝てた。

恐らく処置室(?)みたいで、手術後ある一定の時間はそこで過ごすみたい。
とりあえず、すかさずそこで仕事をしている人(看護士?)に今の時間を聞く。私の記憶が確かで、どれだけ寝てたかは分からないけど、手術自体は2時間もかかっていないことだけはハッキリした。


調律するのと変わんない早さで、私の太ももちゃんは左手君となったらしい。




その後、ウトウトしては目を覚ましたりを繰り返しながら病室へ移され、いくつかの強烈な夢を見た。

一つ目は、病室で目が覚めたら実は手には豚の皮膚が移植されていた、と言うもの。
意外に仕上がりも綺麗で、豚も悪くない!なんて喜びながら、今回は取らずにすんだ足の皮膚を見ようと体勢を変えたら足の激痛で本当に目が覚め、そんな上手くコトが進まない現実を身を以て痛感。

二つ目は全く同じシチュエーションで、目が覚めたら手が融け始めていると言うもの。包帯が黄色くどろどろになり、恐怖で本当に目が覚めた。
夢で良かったと思ったものの、異常に後味悪く気持ち悪い汗をかいていた。

そんな風にいくつかの現実っぽい夢を行き来している間に、何やら会ったことのある医者と話す夢も見た。




夕食の時間になり、同室のおばあさんとも会話出来るようになり始めた頃、入院期間の話になった。

「イヤイヤ、明日には帰りますよ」(さすがに日帰りは無理だった)
「あら、でもさっき数日入院なんて言ってたわよ」



・・・ナンダト・・?


夢の中の医者曰く、「これは数日入院だねー」



夢だけどー





夢じゃなかったー!!!





©となりのトOロ

入院レポ④

私がいた病棟は外科(特に手関係)。

病室は基本的に二人部屋(カーテン無し)。
各部屋にテレビ1台、洗面台と収納棚が付属。(下記、写真参照)
トイレとシャワーは各二部屋ごとの間隔で整備されているし、Halleの総合病院(火傷治療は有名らしい)は比較的最近新しくなったらしく、日本ではお見舞いにしか行ったことがない病院のどこよりも綺麗だった。



手術まで絶飲食の私は、同室になったおばあちゃんの朝食を横目で眺める。正気だったらあまり美味しそうとは思わないパンにジャムやサラミは異常に目に焼き付く。
眼鏡を外すも、聴覚から空腹を刺激する。


・・・くっ、あと数時間の辛抱とは言え、拷問だ・・・!!!



そうこうしているうちに手術前の最終確認で、緊急連絡先(ヘンデル・ハウス)や体重や持病の再確認をしに看護士のおねーさんがやって来た。


「体重は?」
「体重計持ってないから正確には分からないけど、多分××kgくらい、でも今は・・・」
「は?!それだけしかないの?!」
「いや、まー通常より全部が小さいし・・・」
「まーそうね」

多分絶飲食効果で更に1、2kgは余分に痩せてるだろうことは自己申告出来なかった。





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いよいよ、手術になった。

病室で寝てたままのベットで手術室へ運ばれ、手術室の手前の部屋で麻酔医(多分)にバトンタッチ。
自ら手術台に移り、体の上にバスタオルみたいなのを掛けられる。映画「おくりびと」のワンシーンじゃないけど、自分が着てた病院着をバスタオルの下から抜かれる。


私の手術は左手と左太ももが必要なだけで、


スッポンポン(しかし局部周辺は二重構造)になる意味が分からん・・・・!!


とりあえず点滴をしてもらいながら手術室手前で待機すること数分後、手術室のドアが開き中から手術台がガラガラと運び出された。
乗っていたのは中年のおじさん。手術用の深緑のラバーシートから出た腕の感じは逞しい感じのおじさんだけど、その腕は台から垂れ下がり、カクンと垂れた首はこっちを向いていて、眼鏡掛けてないからハッキリは見えなかったけど、多分、アレ・・・

白目むいてたよ・・・!!!


そばにいた麻酔医(多分)のおっちゃんに、私の顔が引きつってたからなのか、
「怖い?」
「うん、まあ。。。(アンタ達がね!)」
と心の声は言えず、出て来た逞しい白目のおじさんと入れ替わりに私は手術室に運び込まれる。


「あははー、大丈夫だよ。すぐ終わるて!」


今までかつて、こんな不安な励ましはなかった。




生還。

生きています。





ただこの期間、人生初の




  • 手術+誓約書サイン(大小関わらずあることを初めて知った)
  • 絶飲食+禁煙
  • 全身麻酔
  • 入院(当初は日帰り予定だった)





を体験。






自分でもこの展開について行けてなかったけど、絶望は見た。